お悩みスッキリ Q&A

もっと知りたい食物繊維のこと
青江 誠一郎先生
Q
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「食物繊維を取ることは大切」とよく聞きますが、そもそも食物繊維とは何でしょうか?

A

日本における食物繊維とは、ヒトの消化酵素によって消化されない、食物中の難消化性成分の総称です。成分は非デンプン性で、多糖類(植物性、動物性、微生物性、化学修飾性)とリグニンに分けられます※(表A参照) また、水に対する溶解性から水溶性と不溶性に分類され、自然界では両者が混在しています。(表 B参照)食物繊維そのものは消化吸収されませんが、豊富に含んだ食品を摂取した場合、主に糖質や脂質など栄養素の消化吸収に影響を 及ぼしながら、食物繊維は大腸まで達します。大腸ではかさを増して排便を促し、そのうえ発酵することで腸内環境を改善します。食物繊維の摂取は、腸疾患・代謝疾患の予防や改善にも重要といえます。

※日本食品標準成分表(文部科学省)の定義による。

日本食物繊維学会が提唱する食物繊維の定義
食物繊維の分類
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最近「ブラン」入りの食品をよく見かけます。そもそも「ブラン」とは何でしょうか?

A

小麦は製粉過程で外皮が取り除かれ、小麦粉としてパンや麺の加工に使用されます。この時に取り除かれ た種皮、胚、糊粉層などが「小麦ブラン」で、小麦ふすまとも呼ばれています。食物繊維含有量が高く、その大部分が水に溶けにくい不溶性食物繊維です。また、細胞壁が厚いため、高いかさ増し効果を発揮します(グラフ C、写真D 参照)そのため、胃の中では腹持ちが良くなり、食べ過ぎを抑えることで肥満を抑制。血糖値の急激な上昇を抑えます。さ らに小麦ブランは、水分を含んで大腸を刺激するため、排便促進効果をもたらします。大腸内を早く通過すること は、腸内毒素や腐敗産物の産生を抑えたり、腸内での吸収を抑制して代謝性疾患を低リスクにすると考えられています。

食物繊維のかさ増し効果の関係

出典:Tanabe H et al: J Nutr, 135,2431-2437~2005)

小麦ブランの食繊維
食物繊維・小麦ブランの体内での働き 食物繊維・小麦ブランの体内での働き
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「食物繊維は、お腹の調子を整えてくれる」と聞きますが、実際に食物繊維・小麦ブランは、お腹の中でどのような働きをしているのでしょうか?

A

小麦ブランは胃内に長く留まることで、同時に摂取した糖質の消化吸収を遅延させます。これにより血糖上昇が遅れ、血糖値の度合いを示すGI値が低くなります。急激な血糖値の上昇を抑えることは、糖尿病の予防やインスリンの過剰分泌を抑え、肥満の予防につながります。
また、小麦ブランは腸内でも作用しますが、腸内環境が悪化すると病原菌に対する免疫機能が低下するため、炎症を引き起こします。すると免疫機能がさらに低下するという悪循環に陥ります。一方で腸内環境が良好だと、プロピオン酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を産生。有害菌の増殖を抑えるとともに、短鎖脂肪酸が代謝アップに直接つながる作用を発揮し、体脂肪になりにくくします。
そして良い排便習慣は体内のリズムを健全にするうえ、脳と腸の神経、ホルモンの関係を良好に保つので、健やかな精神状態を維持できる可能性が示されています。実際に小麦ブランの摂取により平均排便頻度が25%増加したという検証結果があり、これらの試験にはブランを使用したシリアルが使用され、その効果が実証されています※。健康な生活リズムは良い排便習慣からと言えるでしょう。

※出典:Williams PG:(2014) Adv Nutr 5:636S-673S.

食物繊維・小麦ブランの体内での働き 食物繊維・小麦ブランの体内での働き